便器という商品

大学のトイレで用を足していてふと思った。 この、大便器という製品はすばらしい売り物である。

大便器が大便器であるために必要なことは、用を足せることと、常に清潔に保たれることである。 この二つの機能を完全に満たしているのが、大便器の下側にある陶器の部分である。 この陶器さえあれば大便器は大便器としての役割をまっとうすることができてしまうのだ。 さらに、この陶器の部分は非常に単純な作りをしており、一切ハイテクなものがないのである。 それでいて非常に頑丈に作られているので、大切に使えば100年は十分使うことができそうである。

その一方で、便器の利便性や排泄中の快適さを高めるという付加的な機能をつけるため、陶器の上には 日本が世界に誇るテクノロジーが詰め込まれた便座が乗っている。こちらの部分は、技術革新により つぎつぎと新しい製品が生み出されるため、100年使うことは叶わないだろうが、その分交換が容易なため 常に最新の状態に保つことができるのである。

一つの製品を末長く使い続ける喜びを味わいつつ、いつも最新であることからも満足感を得られる。 そんな物の売り方を見習っていきたいものだ。